想続だより

どう変わる?これからの相続Q&A

Q 相続税に関する法律が改正されると聞きました。いつからですか?

平成25年1月24日に税制改正大綱が発表されました。
改正後の法律が施行されるのは平成27年1月1日以降に発生した相続について適用となる予定です。(3月に開催される国会で正式に成立する予定。一部の法律は平成26年1月1日から施行予定)

Q どのような内容なのですか?

まず、一番大きな改正点は基礎控除額の改正です。
基礎控除とは相続税の申告が必要となるかどうかのボーダーラインの額です。
現行の基礎控除額が6割に減額となります。

 【現 行】 5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数
 【改定後】 3,000万円 +   600万円 × 法定相続人の数

磯野家の場合 国民的アニメ磯野家で例えてみると、現行では波平さんが亡くなると相続人はフネさん、サザエさん、カツオ君、ワカメちゃん、の4人で
5,000万円 + 1,000万円 × 4人 = 9,000万円
が基礎控除となるところが
平成27年1月1日以降の相続では
3,000万円 +   600万円 × 4人 = 5,400万円
しか基礎控除として認められないことになります。

現行では波平さんの遺産総額が9,000万円以下であれば申告も不要ですし、もちろん相続税も発生しませんでした。しかし、今度の改正では遺産総額が5,400万円を超えていれば申告が必要となり、相続税の納税が必要となる方が増える可能性が出てまいります。
現在相続税の納税率は全国平均で約4%ですが 、この税制改正で全国平均で6%くらいに、また都市部では15%を超えるのではないかとも言われています。

Q 相続税率も変わると聞きました。どう変わるのですか?

相続税の税率が引上げられます。下記相続税の速算表の2億円超部分が45%に、6億円超部分が55%になります。
日本の相続税の計算は法定相続分課税方式と言って、仮に法定相続人が法定相続分で遺産を取得したとして計算します。
相続税速算表 まず、遺産額から基礎控除を引き、法定相続分で分けた後に、税率を乗じますので遺産額がかなり大きい人が対象となります。
こちらも、平成27年1月1日以後の相続から適用になります。

お客さまの声

今回は当センターに寄せられました、皆様からの生の声をご紹介させていただきます。


お客様の声

<Yさん>

永年にわたり気になっていたのですが、何から手をつけていいかわからなくて曾祖父の代から手付かずにしておいた家屋、畑、山、土地の相続を頼みました。
とても短期間で、しかも低価格でして頂きありがとうございました。

相談員のつぶやき

【家族への「付言」】

Aさんはまだまだ家族に伝えたい想いがあったのではないだろうか、私たちがもっとお手伝いできることがあったのではないか、いまだにその思いが頭から離れません。

Aさんから遺言作成支援の依頼を受けました。
既にAさんはがんに侵され、状態はあまり良くなく、抗がん剤の治療を続けているといった状況でした。
相談のご依頼を頂いた当初は、財産の分け方についてばかり気に掛けているようでした。そこで私たちはAさんに「遺言ノート」を作成するよう勧めました。色々な想いを伝えるためのノートです。その中には、自分の生い立ち、妻との出会い、子供達との思い出など家族への感謝や思いやりの心が書き綴られていました。それらを基に「公正証書遺言」を作成することになり、私どもで準備を進めておりました。
そんな矢先、Aさんから息も絶え絶えで「あまり具合がよくない。遺言手続きを早くしてほしい。」との連絡を受けました。公正証書遺言の文案は既に完成しておりましたので、次の日、急きょ公証人にAさんの自宅に来ていただき、公正証書遺言を作成することになりました。 今回の場合、本人同意の下、遺言の文案が出来ていましたので、文案を基に予め公証人が遺言を作成し、その遺言を公証人が読み上げAさんの同意を確認するという形式で行われました。

まず、財産の家族への分配について読み上げられ、続いて「付言」が読み上げられました。「付言」というのは、法的拘束力は持たない、遺された家族へのメッセージなどのことをいいます。
そこには、あの「遺言ノート」に書かれていたAさんの家族への様々な想いが綴られていました。妻への想い、子供達への想い、孫達への想い・・・。そして最後は「ありがとう」の言葉で締めくくられていました。
ご家族の方がその場におりましたが、泣き崩れていらっしゃいました。私は震えがとまりませんでした。そして、その2日後、Aさんはお亡くなりになられました。

遺言によって、財産をどのように家族に遺したいかというAさんの意志を、確かに家族に伝えることが出来ました。しかし、なによりも大きいのはその意志の根底にある家族に対する想いを、「付言」によって遺された家族に伝えられたことです。
Aさんの遺された財産は、時間が経てばいつか消えてしまうかもしれません。しかし、Aさんの自分の家族に対する暖かな気持ちは、遺された家族にとって生涯消えることのないかけがえのない財産となったのではないでしょうか。